■一言解説
図1は1987年1月の月平均10hPa面高度分布を示しているが、アリューシャン付近に高気圧が解析されていることがわかる。冬季に北半球成層圏に観測されるこの高気圧のことをアリューシャン高気圧という。次に図2は、1979〜1995年で平均した1月の海面気圧分布を表しているが、アリューシャン付近に低気圧が解析されている。北半球の冬季に現れるこの地表付近の低気圧のことをアリューシャン低気圧という。
■詳解
アリューシャン高気圧
図1に見られるパターンは、成層圏の太陽放射分布によってつくられる北極を中心とする同心円状の低気圧(極では太陽放射が無く、大気の放射冷却が進み低温で空気が下に沈むため、上層では周辺より気圧が低くなるため低気圧ができる)と、対流圏で大規模山岳や海陸の温度差などにより励起され、成層圏まで伝搬す東西波数1〜2の定常プラネタリー波がつくる高低気圧分布の重ね合わせによって基本的に説明できる。波数1の波はアリューシャン付近に高気圧、それとは反対の180度経度がずれたところに低気圧を形成する傾向があり、波数2の波はアリューシャン付近と180度経度がずれたところに高気圧、90度ずれたところに低気圧を形成する傾向がある。この波数1と波数2のパターンの重ね合わせにより、アリューシャン付近では高気圧が強まり、その反対側では高低気圧が打ち消しあう傾向がある。この結果、アリューシャン付近に顕著な高気圧が、極から反対側にかけては極夜渦と呼ばれる低気圧が形成される。
アリューシャン低気圧
アリューシャン低気圧は10月頃から現れ、1月に最盛期を迎え、4月には衰退・消滅する。夏には解析されない。この低気圧はテレコネクションの一つであるPNAパターンと関わりを持っている。
アリューシャン海域は、日本付近を通過した低気圧が消滅するため「低気圧の墓場」とも呼ばれている。ちなみに、北大西洋の低気圧はアイスランド低気圧という。この低気圧はテレコネクションの一つであるNAOと関わりが深い。そして、アリューシャン低気圧ともシーソー関係にある、つまり、アリューシャン低気圧が弱い(強い)とアイスランド低気圧が強く(弱く)なるという関係にあるのではと考えられている。