■一言解説
ある物体に対して入射する太陽光を代表とした放射エネルギーのうち、一部は物体の表面で反射され、一部は物体によって吸収され、そして残りは物体を透過する。入射エネルギー量に対する反射、吸収そして透過するエネルギー量の割合のことを、それぞれ反射率、吸収率そして透過率と呼ぶ。そしてこの3つの物理量のうち、反射率のことを気象学ではアルベドと表現する。
晴れた日に色の濃い服を着た場合と色の薄い服を着た場合とで体感温度が変わることを感じた経験のある人は多いのではなかろうか。それは、色の濃い(例えば黒)服は、アルベドが低く、入射エネルギーの大部分が吸収され物体の加熱に使われるために熱くなり、逆に色の薄い(例えば白)服は、アルベドが高く反射されるエネルギーが多く、物体の加熱に使われるエネルギーが減るために温まりにくいためである。
■詳解
表1.太陽からの放射線に対するいろいろの表面のアルベド(%)
| 裸地 | 10〜25 |
| 砂、砂漠 | 25〜40 |
| 草地 | 15〜25 |
| 森林地 | 10〜20 |
| 新雪 | 79〜95 |
| 旧雪 | 25〜75 |
| 海面(高度角25度以上) | 10以下 |
| 海面(高度角25度以下) | 10〜70 |
物体のエネルギー収支に関係する反射率、吸収率そして透過率というこれら3つの物理量は、物体の放射特性を示すわけだが、同じ物体でも入射する放射線の波長によって異なった特性を示す場合があることに注意してほしい。アルベドが気候・気象学で注目されるのは、地球の気候システムを考える上で、太陽からの入射エネルギーのうちの何割が反射され、何割が大気や地表面の加熱及び水の蒸発に使われるかということが重要だからである。アルベドが高(低)ければ、反射されるエネルギーが多く(少なく)なり、加熱等に使われるエネルギーはその分減少(増加)する。地球表面において、森林帯やアスファルト等の色の濃い地面はアルベドが低く、砂漠や雪面等の色の薄い地表面はアルベドが高い。結果、地表面の状態は、その地域での気温や水蒸気量の変動に大きな影響を与える、つまり局所気象に影響を与えることになる。右の表には、地表面状態によるアルベドの違いを表記してみた。
では、地球のアルベドはどれくらいだろうか。太陽から地球に入射してきたエネルギーのうち、一部は大気中の気体分子やエーロゾル(微粒子)及び雲によって散乱、反射され、一部は地表面で反射されて宇宙空間に戻っていく。大気と地表面を一体化して「地球」を定義したとき、地球で反射された放射量と入射する太陽放射量の比が地球のアルベドと言える。その値は、おおよそ0.3と分かっている。このアルベドの値が0.3より低(高)ければ、地球の温度は今より高く(低く)なるであろう。地球上の雪氷地域、砂漠、森林等の面積の増減は、地球のアルベドの増減につながることから、地球の気候システムを変え得る可能性があることが示唆される。
参考文献
小倉 義光, 1999 : 一般気象学[第2版]。 東京大学出版会, 320頁。