■一言解説

冬季に、日本の南岸を通過する温帯低気圧のことを南岸低気圧とか、台湾付近で発生することから台湾坊主と呼ぶ。この経路を通る低気圧は、太平洋岸に降雪をもたらす可能性があることから着目されている。図1は2003年4月5日9時の実況天気図である。関東南海上に992hPaの発達中の低気圧がある。このように、南岸を低気圧が発達しながら東進すると、北から低気圧に向かって吹き込む風が、寒気を南下させる。そのために太平洋側特に関東平野以北で降雪となる。実際、右の天気図の日において、間東北部や甲信の一部で大雪となり、河口湖では4月では観測史上3番目の積雪23cmを記録した。
南岸低気圧に伴って雨が降るか、雪が降るかの判断は難しい。雪が降る条件としては、(1)低気圧が発達しながら通過すること。(2)低気圧の経路が陸地に接近しすぎないこと、逆に北緯30度以北を通過することが挙げられる。(1)の条件は、低気圧が発達しないと低気圧に吹き込む風が弱く、寒気を十分南に引き込めないためである。図1の天気図の南岸低気圧は、前日9時には九州の南に位置しており1006hPaであった。そして6日9時には三陸沖に達し978hPaとなり正に発達中であった。(2)に関しては、低気圧が陸地に接近しすぎて通過すると、低気圧の南側の暖湿な空気の影響で気温や湿度が上がりすぎて雨になること。逆に北緯30度以南を通過すると、陸地から遠すぎて雨(雪)雲自体が陸地にかからないためである。
南岸低気圧による降雪は関東以北の太平洋岸が中心となる。というのは、低気圧に向かって吹く北東気流に乗ってやってくる寒気は下層中心であり、アルプスを越えられないために西日本には流れ込みにくいからである。南岸低気圧は2月に多く見られる。