エクマン境界層
エクマン層における流れの説明図 一言解説
中緯度の上層ではコリオリ力と気圧傾度力がつりあった地衡風が吹いているが、地表付近ではこれに摩擦力が加わるために上層とは異なった風系の層が形成される。これがエクマン境界層である。地表付近の大気だけでなく、海面付近の海水の流れに関してもエクマン層が存在する。

詳解
右の図の(b)で示したように大気中のエクマン境界層では、風速が地表面付近でゼロであるが、高度とともに風ベクトルの先端はらせんを描きながら(エクマンらせんとよぶ)地衡風に接近する。大気の動粘性係数(空気がどれだけねばっこいかを表す係数)をνとすると、境界層の厚さは(2ν/f)^(1/2)(ここでf:コリオリパラメータ=2Ωsinφ)であり、中緯度では約1km程度である。この境界層は回転している境界層に特有のものであり、高緯度地方のように地球回転の効果が強くなると、風を地衡風に近づけようとする力が強く働くようになり、境界層の厚さは薄くなる。右の図(a)に示すように海洋中でもエクマン境界層は存在する。海面の海水は風に引きずられているにも関わらず、風が吹いていく方向から45°ずれた方向に流れる。深さととともに流れの方向はさらに右にそれるが、深度100mほどで流れはほとんどなくなる。この流れ全体を深さについて積算すると、海水は風が吹いていく方向と直角方向に右に輸送される。これが海洋中のエクマン境界層の流れである。その深さは、海水の動粘性係数をνとすれば、大気での境界層の厚さのオーダーになる。

参考文献
小倉 義光, 1999 : 一般気象学[第2版]。 東京大学出版会, 308頁。