■一言解説

湿った空気が山越えなどで下降気流になり、それに伴う乾燥した熱風によって山岳の風下側で高温となる現象をフェーン現象という。「フェーン」とは、この乾燥した熱風のことを呼ぶ。
■詳解
図1にはフェーン現象における模式図を示している。山の風上側斜面を吹き登る気流は、水蒸気を含むために1kmあたり約5℃(湿潤断熱減率)の割合で冷え、飽和に達して雲を形成し、空気中の水蒸気は降水として落ちる。よって空気は乾燥し、風下側を吹き降りる際には乾燥空気として1kmにつき約10℃(乾燥断熱減率)の割合で昇温するため、風下山麓で高温をもたらす。日本では、台風や低気圧が日本海で発達しながら通過すると、太平洋側から湿潤な空気が中央山脈を越えて日本海側に吹き降りる時に、しばしばフェーン現象が発生する。風下側の山麓では乾燥と異常高温が重なって大火が発生することがある。一方、冬のシベリア気団から北西季節風の吹き出しの際も、太平洋側の地方でフェーンが起こっているわけだが、山越え前の風上側の空気が大変低温のため、目立ったフェーンにはならない。このようなフェーンは、非断熱加熱説の降水を伴うフェーンと呼ばれることがある。他に、力学説があり、それによると上空の温位の高い空気が下層の温位の低い空気を押しのけ、力学的に風下側の斜面まで下降することにより乾燥した高温の気流となることがある。これは降水を伴わないフェーンまたは力学的に誘起されたフェーンという。フェーンが発生しているときの山越え気流の山岳波によって生じる雲をフェーン雲といい、レンズ雲やロール状の雲となる。高温のおろしの原因ともなる。
参考文献
天気予報技術研究会編集, 1994 : 最新 天気予報の技術。 東京堂出版, 282頁。