一言解説
山の谷筋に沿って発生した霧の写真 直径数十μm以下の小さな水滴(または氷晶)が大気中に浮かんでいることが原因となって、地表面付近で水平方向の視程が1km未満になる現象。霧粒が光を散乱、反射、吸収するために視程が悪くなる。視程は悪いが1km以上ある場合をもやという。霧は地上に発生した雲である。霧の発生は湿った空気の温度が露点温度まで下がるか、空気が飽和するまで水蒸気が加えられたか、あるいは両者が同時に起こったかである。

詳解
霧は、その発生要因によって、次のように分類される。
  1. 放射霧
    晴れた夜には地表面は放射冷却によって冷え、それに接する地表面付近の気温が下がることによって明け方に発生する霧。夜間風が強いと、地表近くの冷えた空気と、そのすぐ上の冷えていない空気がよく混合するため地表付近の気温の下がり方は小さい。したがって、放射霧がよく発生するのは風が弱く雲のない夜及びその明け方である(放射冷却が強く効く夜)。日の出後は気温が上がり、霧粒は消えてしまう。地形的には、冷たい空気のたまりやすい山間の盆地で発生しやすい。
  2. 移流霧
    移流とは、空気塊が水平に移動することを表す気象用語である。鉛直方向に動く時は対流という。暖かい空気が温度の低い地表面上に移動し、冷やされてできる霧が移流霧である。 日本付近では、暖かい黒潮の上にあった空気が南よりの風とともに北上し、冷たい親潮の上で冷やされてできる海霧がこれに相当する。時に、暖かい空気が冷たい陸上に移流して冷やされ、それに放射冷却が加わって発生する混合型の霧もある。
  3. 蒸気霧
    寒い冬、吐く息が白く見えるのと同じである。水蒸気を多く含んだ暖かい空気がまわりの冷たい空気と混合して飽和に達した場合に発生した霧である。実際には、空気がそれよりずっと高温の水面に接するときに発生する。例として極地方で秋や冬に発生する海霧がある。
  4. 前線霧
    温暖前線で長時間降雨があり空気の相対湿度が増したところへ、上空の暖気から比較的高温の雨粒が落下してくるときに発生する霧である。閉め切った風呂場でシャワーを浴びる際、シャワーの暖かい水滴が蒸発して空気が過飽和になり、余分な水蒸気が霧粒となるために湯気が立ち込める現象に相当する。
  5. 上昇霧
    山腹に沿って空気が上昇すると断熱膨張のために空気の温度が下がる。ときには露点以下になることもある。このとき遠くから見れば山に雲がかかったように見えるが、その雲の中の人は霧に包まれたわけである。雲は山にへばりついて動かないように見えるが、おのおのの雲粒(霧粒)は山腹に沿って上方に流れている。

参考文献
小倉 義光, 1999 : 一般気象学[第2版]。 東京大学出版会, 308頁。