温度躍層(水温躍層)
太平洋赤道域の水温の深度−経度断面図 一言解説
図1には、太平洋の赤道域における水温の深度−経度断面図を示している。この図より、水温は水深が深いほど低くなっているが、その変化は一様ではなく、特に水深100〜200mのところで急激に水温低下が見られる。この水温の深度傾度が大きい層(図で黄色で示した層)を温度躍層、または水温躍層と呼ぶ。

詳解
一般的に海洋において、海面近くには日射で暖められた高温の海水が溜まり、その下で急激に水温が下がって、さらに低温の海水に連なる。おおよそ、温度躍層が深い海域の海面水温は高い。例えば、海面水温の低い赤道太平洋東部では温度躍層の深さは浅く数10m程度(図1右側の地域)であるが、海面水温の高い赤道太平洋西部では深く150〜200mほどある(図1左側の地域)。これは、西向きに吹く貿易風に暖水が吹き寄せられ西太平洋に溜まったためと、赤道湧昇が東部太平洋より弱いためである。
エルニーニョ時になると、暖水が東側に広がることによって、東部太平洋での温度躍層は深くなり、西部太平洋では 逆に浅くなる。温度躍層付近では水温傾度が大きいため、温度躍層の深さが若干変化しただけでも、大きな水温変化のシグナルとして捉えることができる。このことから、エルニーニョやラニーニャ現象の発現前のシグナルとして、温度躍層の変化が注目されている。

参考文献
小倉 義光, 1999 : 一般気象学[第2版]。 東京大学出版会, 308頁。