■一言解説

積乱雲が成熟期を迎えると、雲の中では雨滴の落下とともに周辺の空気も引きずられる形で降下する。その空気が、雲底より下に来ると、そこでは相対湿度が100%ではないため、雨滴の水の一部が蒸発し、そのとき周辺の空気から蒸発熱を奪うため、空気の温度が下がりながら下降する。このため、成熟期及び衰退期の積乱雲の下では低温の下降気流が発生する。発生した冷たい下降気流は、地表面にぶつかり放射状に流れ出す(これを冷気外出流と呼ぶ)。その先端がもとからあった周囲の空気と衝突する線をガストフロントという。
■詳解
ガストフロントのガスト(gust)とは突風という意味で、この線に沿って突風が強く吹くことから、昔は突風前線とか陣風前線と呼ばれていた。典型的な、ガストフロントの一生は図1に示す通りである。第1段階では、成熟期の積乱雲の雲底から雨粒とともに冷たい下降気流が降りてくる。第2段階では、下降気流は勢いよく地表面にぶつかり水平に広がっていく。その先端(ガストフロント)は渦巻いている。第3段階ではガストフロントは衰弱期の積乱雲から遠ざかりつつある。時には、第4段階として母体の積乱雲は消滅した後でも冷たい空気からなるガストフロントだけは遠方まで伝わっていくこともある。
ガストフロントの部分では、積乱雲からの空気と周辺の空気が衝突して、収束線を形成するため、そこに上昇気流が発生し、新たに積乱雲が発生することがある。また、積乱雲から生じる下降気流のことをマイクロバーストやダウンバーストと呼ぶ。詳細は「ダウンバースト」のページを参照されたい。
参考文献
小倉 義光, 1999 : 一般気象学[第2版]。 東京大学出版会, 308頁。