高気圧
高気圧の模式図 一言解説
気圧配置において周辺よりも気圧の高い部分のことを高気圧という。高気圧の中心気圧の値に決まりはなく、同じ天気図上で低気圧の中心気圧よりも気圧の低い高気圧が存在することもある。高気圧の中心は周辺よりも気圧が高く、大気が地表面を押す力が強いため、空気は中心から周辺へと流れ出す。低気圧とは、全く逆の空気の流れになっている。地表付近で空気が流れ出すため、流れ出した分の空気を補うために上空から空気が降りてくる。よって、高気圧の中心では、下降気流が卓越し天気が良くなる。流れ出す空気は、コリオリ力の影響を受けて、北半球では空気の動く方向が右にずれ、時計回りに風が吹き出す(図1参照)。

詳解
日本付近の代表的な高気圧 大きな高気圧は、気団の強弱の現れである。図2には、日本の天候に影響を与える3つの大きな高気圧を示している。以下にそれらについて説明する。

(1)シベリア高気圧
冬季に大陸で放射冷却や北極からの寒気移流が、チベット高原の地形的障害によって滞留することで発生する高気圧である。下層の寒冷な大気が成因の高気圧であり、寒冷型高気圧とも言われる。冷たい空気は暖かい空気よりも密度が大きく重いので、寒気が滞留する領域は周辺よりも気圧が高くなる。この成因による高気圧は、下層の寒気によってできているので、高気圧としての特徴は下層にあり、上層まで及ばないので背の低い高気圧とも呼ばれる。天気が悪くなる場合もある。

(2)太平洋高気圧
小笠原高気圧とも呼ばれる。熱帯地域で太陽放射による加熱で上昇し、高緯度側に移動した空気が下降する場所に形成される高気圧で、亜熱帯高気圧とも呼ばれる。上層の空気が下降してくるために断熱昇温により気温は高くなる。温暖型高気圧とも呼ばれ、ブロッキング高気圧もその一種である(ただし、ブロッキング高気圧は亜熱帯高気圧ではない)。成因上、上層から下層まで下降気流となるため背の高い高気圧とも呼ばれる。一般に天気は良い。太平洋高気圧と同じ亜熱帯高気圧としてポルトガル沖に形成されるアゾレス高気圧が有名である。

(3)オホーツク海高気圧
オホーツク海方面に発生する高気圧で、寒気を南下させ、海面から顕熱と潜熱の補給を受けて、大気を不安定にし広範囲に渡って悪天をもたらす。オホーツク海高気圧は、北東気流を発生させ、北日本を中心に冷害や日照不足などの被害をもたらす。また、6〜7月にかけて太平洋高気圧との間に梅雨前線を発生させる。またオホーツク海高気圧に伴って霧が発生することが多く、各種交通機関の運行に支障をきたすことがある。

(4)移動性高気圧
(1)〜(3)の高気圧は、ほとんど移動することはない。それに対して、春や秋を中心に発生し、温帯低気圧と同様に移動する高気圧のことを移動性高気圧という。移動性高気圧の前後には低気圧がある。温帯低気圧と移動性高気圧は上空の偏西風波動(傾圧不安定波)の谷と山にそれぞれ深く関係している。移動性高気圧の中心から前面では天気は良いが、中心が通過すると薄雲に覆われ始め、後方の低気圧の接近とともに天気は悪くなる。移動性高気圧が幾つか東西に連続して並んだもの、東西に幅をもった移動性高気圧のことを、帯状高気圧と表現することがある。

(5)ブロッキング高気圧
詳細は「ブロッキング現象」のページを参照していただきたい。簡単に説明すると、偏西風波動が大きく波を打つと、谷の部分(低緯度側)では低気圧が切り離され(切離低気圧、寒冷渦などと言う)、山の部分(高緯度側)には高気圧が切り離される。後者の高気圧のことをブロッキング高気圧という。背の高い高気圧であり、一度形成されるとほぼ停滞し、1ヶ月近く維持されることがある。(3)のオホーツク海高気圧がブロッキング高気圧であることもある。

これまでに挙げた、高気圧は比較的規模の大きいものであるが、積乱雲から降りてきた気流によって形成されるメソハイと呼ばれるような、小規模な高気圧もある。詳しくは、「雷雨」を参照されたい。

参考文献
天気予報技術研究会編集, 1994 : 最新 天気予報の技術。 東京堂出版, 282頁。