南北循環(ハドレー循環・フェレル循環・極循環)
1月における東西平均子午面循環の流線関数の緯度−高度分布 図1は、帯状平均した子午面循環の流線関数の緯度高度断面である。太い矢印に沿って空気が流れている。すると、両半球ともに低緯度(赤道〜緯度30度)、中緯度(緯度30〜60度)、高緯度(緯度60度より極側)にそれぞれ循環セルが見られる。それぞれの循環を、ハドレー循環、フェレル循環そして極循環という。地球に入射する熱は1年を通してみると、赤道付近で最大で極で最小となる。結果、低緯度の空気の方が暖められやすいため、極との間に南北の温度差が生じる。これらの循環は低緯度から高緯度に熱を輸送する役目を果たしており、この循環がなければ低緯度と極の温度差は大きくなる一方である。次にそれぞれの循環について説明する。

(1)ハドレー循環
低緯度側において赤道付近で上昇し、南北30度あたりで下降する循環が見られる。これがハドレー循環である。ハドレー循環の下降域にあたる、南北緯度30度あたりは高圧帯、上昇域である赤道付近は低圧帯となる。下層では南北30度から赤道に向かって風が吹く貿易風が存在する。コリオリの力を受けることによって、北半球では北東貿易風、南半球では南東貿易風となる。このように相対的に温度が高い地域で上昇し温度が低い地域で下降している鉛直面内の循環を直接循環と呼ぶ。

(2)フェレル循環
中緯度あたりに卓越する循環がフェレル循環である。この循環は低緯度側(ハドレー循環)や高緯度側(極循環)に見られる循環と大きく異なり、相対的に温度の低い地域で上昇し高い地域で下降する間接循環である。どうしてこのような循環が生じるのか、この循環は実は緯度圏に沿って地球全体で平均をとることで現れる見かけの循環である。直接循環であるハドレー循環の上昇域では強弱の変動はあるものの、どの経度でもほぼ上昇流である。フェレル循環に関しておおまかに言うと、緯度60度あたりでは、いくつかの場所で北東方向に進んできた温帯低気圧が発達して強い上昇流があるので、その隣近辺に弱い下降流があっても緯度圏に沿って平均する際、かき消され結果として上昇流が卓越することになる。逆に緯度40度あたりでは、温帯低気圧の背後にある下降流が卓越しており、緯度圏にそって平均すると下降流が卓越していることになる。その結果、中緯度に間接循環であるフェレル循環がみられるわけである。

(3)極循環
最も極側にあり、弱いながら冷たい空気が下降し、地表面に沿って中緯度に向かう循環が見られる。これが極循環であり、相対的に温度の高い地域で上昇、低い地域で下降するハドレー循環と同じ直接循環である。

参考文献
新田 尚, 伊藤 朋之, 木村 龍治, 住 明正, 安成 哲三, 2002 : キーワード 気象の事典。 朝倉書店, 520頁。