■一言解説
空気塊を断熱的に標準気圧(1000hPa)のところまで下降(上昇)させた時のその空気塊がもつ温度のことを温位という。断熱変化(空気塊のその周辺との空気の間の熱のやりとりや空気塊の中で水蒸気が飽和して水粒子形成されることで発生する熱が無い)している気体では温位は保存される。
■詳解
温位は以下の式で計算される。

Tは空気塊の温度(K)、pは空気塊の気圧、Poは標準気圧(1000hPa)、Rdは乾燥空気に対する気体定数(287u/s^2・K)そしてCpは定圧比熱(1005J/K・kg)である。図1は、温位の南北鉛直断面を示している。温度の分布では、最も高いのは熱帯地域の下層であり、逆に低いのは対流圏界面の高い同じ熱帯地域の対流圏界面付近である。ところが、温位の分布では、最も低いのは極地方の下層であり、どの緯度についても高度とともに温位が増加している。特に等温位線は対流圏界面付近で密集している。これは大気の静的安定度に大きな意味をもつ、つまり対流圏界面付近では大気は安定な状態にあり上下の混合が起きにくい。また、温度・温位ともに北緯40度付近で南北方向の傾度が大きい。
温位は、空気塊の中で水蒸気の凝結が起こらない(雲の生成が起きない)限り、保存される量である。水蒸気の凝結の起きない空気塊に対しては大気の安定度を知る指標となる。温位が高い空気ほど軽いので、温位が上層ほど低い(高い)大気層は不安定(安定)ということになる。図1で対流圏界面付近で、等温位線が鉛直方向に混み合っていて、かつ上層ほど値が大きいということは、ここでは上空の空気ほど軽い。つまり大気が非常に安定であることを示している。
参考文献
小倉 義光, 1999 : 一般気象学(第2版)。 東京大学出版会, 308頁。