逆転層(接地逆転層・沈降逆転層・移流逆転層)
一言解説
主な逆転層の型 対流圏では、気温は高度とともに低くなるのがふつうであるが、ときに気温が高度とともに高くなる層が出現する。この層のことを逆転層と呼ぶ。

詳解
逆転層は成因によって以下のように分類できる。

接地逆転層(図1(a))
夜間の放射冷却によって、地表面付近の空気が冷えてできる逆転層。冬季に雲がない夜間に陸上で発生しやすい。霧(放射霧)も発生しやすい。日の出とともに逆転層も放射霧も消え始める。同じ型の逆転層は、暖かい空気が冷たい海上を流れてもできる。この時も霧が発生しやすく、初夏ごろ北海道の太平洋岸を襲う海霧がそれに相当する。

移流逆転層の一例 沈降逆転層(図1(b))
下降流によって空気が沈降し、断熱圧縮の昇温によって地表面から離れた高度にできる逆転層である。一般に上空の空気は温位が高いので、その空気が断熱的に下降してくると、下層の温位の低い空気との境に逆転層を生じることになる。逆転層のすぐ上の大気の温度傾度はこの成因により乾燥断熱減率となっている。貿易風帯ではたいていこの型の逆転層があり、貿易風帯逆転層とよばれている。冬季、寒波が吹き出す日本海上でも発生しやすく、その高度は約2km前後で、海上に発生する筋状の雲はこの逆転層によって頭を抑えられている。

移流逆転層(図2)
温暖前線面や寒冷前線面のように冷たい気団と暖かい気団の境である前線は逆転層を形成する。例えば、下層に冷気が滞留している、その上を低気圧に伴う暖かい南よりの風が吹くと逆転層が形成される。図2は移流逆転層の1例であるが、下層の逆転層においては上層の西風とは異なり、東風が流れ込んでいることが分かる。

参考文献
小倉 義光, 1999 : 一般気象学[第2版]。 東京大学出版会, 308頁。