散乱
電磁波の波長、散乱させる粒子の半径と各種散乱の関係 一言解説
地球大気には窒素や酸素など、無数の気体分子やたくさんのエーロゾルが浮遊している。電磁波がこれらにぶつかると、粒子を中心として2次的な電磁波が生じ周囲に広がる。これが散乱である。散乱によって電磁波の入射方向の放射量は減少するため、地表面に到達する太陽放射のエネルギーは減少する。散乱の様子及びその度合いは電磁波の波長とそれを散乱させる粒子半径の相対的な大きさによって大きく異なる。その性質に基づき、散乱は、レイリー散乱、ミー散乱そして幾何光学的進行の3種に分けられる(図1)。雲が白く見えたり、空が青く見えるのは散乱の影響である。詳細は以下を参照されたい。

詳細
以下では、先に挙げたレイリー散乱、ミー散乱、幾何光学的進行について詳解する。

(1)レイリー散乱
入射してくる電磁波の波長が粒子の半径より非常に大きい場合の散乱をいう。 この散乱では、散乱光の強度は電磁波の波長の4乗に反比例する。可視光線の波長は気体分子の半径よりはるかに大きいので、波長の短い光線ほど空気分子によってより強く散乱される。空が青く見えるのは、青い光(波長:0.45μm)の方が赤い光(波長:0.71μm)に比べて波長が短いため、気体分子によって約6.2倍も強く散乱されるためである。可視光線には青い光より波長の短い紫の光もあるが、そのエネルギーは少なく地表に到達する前に散乱・減衰されてしまうため、空は紫には見えないのである。朝日や夕日が赤っぽく見えるのは、太陽光線が斜めに地球大気を通る(長い道のりを経る)ために、青い光(及びそれより波長の長い緑の光)が途中で散乱・減衰し、橙や赤の光のみが地表に届くためである。 この散乱のもう1つの特徴は、散乱による2次的な電磁波の強さが入射波の方向との角度によって違うことである。入射方向とその正反対の方向で最も強く、それと直角な方向ではその約半分である(図2)。 レイリー散乱による電磁波の強さの角度分布

(2)ミー散乱
入射してくる電磁波の波長とそれを散乱させる粒子の半径が同じ大きさである場合の散乱。この散乱は、あまり波長に依存しない。空気が汚れた日には空が白っぽく見えるし、晴れた日に青空を背景にして、積雲や入道雲は白く見える。これは、太陽光線が大気中のエーロゾルや雲粒によってミー散乱され、その散乱光が入射した太陽光と同じように白色光に近いためである。

(3)幾何光学的進行
電磁波の波長が粒子の半径よりずっと小さい場合には、幾何光学的に電磁波の進行方向を計算して差し支えない。雨粒の半径はmm程度であり、可視光線の波長よりずっと大きい。従って、幾何光学的に太陽光線が雨粒で2回の屈折と1回の反射を行うとして虹の見える説明をしていいことになる。