地上気象観測と基本的に同じ内容の部分が多い。海上気象観測に特有の観測項目として次のようなものがあげられる。航行中の船上で観測された風速ベクトルは船の速度が加算されたもので、真の風速ベクトルを計算するには船速ベクトルを引き算しなければならない。船速を入力してこの演算を自動的に行い、真の風向・風速を表示する真風向風速計もよく使われている。海面水温は、採水バケツで汲み上げて測定する方法、あるいはエンジンの冷却水の取入口に設置した隔測温度計を利用する「インテーク法」で測定される。波浪は、風浪(風による波)とうねり(遠方より伝播する波で風が止んだ後も残る波)にわけて、それぞれ波向、周期、波高の3要素を目視で観測する。船舶用波浪計(タッカー式及びマイクロ波式)も用いられており、そのデータをコンピュータ処理して波の周期や波高を求めるほか、エネルギースペクトラムも計算できる。波高に関しては、数分間の波の内、波高の高いものから順に1/3をとって、これを平均した波高である有義波高というものを用いている。大気現象に関しては、海上気象観測に特有のものとして着氷としぶきがある。また海氷については、形状・種別・氷量・移動方向及び速度、分布状況が観測される。気象庁所有の6隻の海洋気象観測船のほか、他官庁の船舶、一般の船舶、漁船などは海上気象観測及びその実況通報を義務付けられており、気象観測点の少ない洋上における貴重なデータとして利用されている。
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図1.利用可能なブイの分布図(1998.06.24)。
+:Moored
+:Drifting/Ship |
世界的にも、海上での観測は重要視されており、船舶だけでなく、海洋ブイによる観測も行われている。これらのデータは、海面水温や海上風速の検証に用いられる。ブイには大きく分けて2種類あり、係留ブイ(Moored)、漂流ブイ(Drifting)があり、これらのブイは世界各国の気象・海洋関連機関、およびTropical Atomosphere Ocean(TAO) Project等の研究計画により展開・運用されているものである。ブイによりデータの品質や風速測定高度などが異なるため、検証に利用するにあたっては注意深く品質管理を行う必要がある。右の図は、利用可能なブイの分布図を示している。