■一言解説
活発な対流セル(積乱雲)が線状に並んだもので、その雲列に直角の方向に比較的速く移動するものをスコールラインと呼ぶが、どの程度以上の速度で伝播すればそう呼ばれるのか定義があるわけではない。
■詳細
図1は典型的なスコールラインの鉛直断面での構造を、図2には水平方向での構造を示している。まず、スコールラインの先端部には強い対流性降雨の領域がある。ここでの構造はマルチセル型雷雨に似て、ガストフロントのところで新しい対流セルが発生し、それがガストフロントに相対的に後方に動く間に成長して成熟期に達しやがて衰える。この対流性領域の凝結高度から上では凝結に伴う潜熱の放出のため温度はまわりより高く、中層での気圧はまわりより低い。しかし、雲底下には冷気のプールがあるので地表面では気圧は高い。これがメソ高気圧という局地的な高気圧である。ここから流れ出す冷気は一部は前方のガストフロントに向かい、一部は後方に向かう。

対流性領域の後ろには層状性の雲が長く延びていて、弱い雨も降っている。その長さは数10km〜100km以上に及ぶことがある。つまり、スコールライン全体としての流れをみると、対流性領域を通過した空気はスコールラインの中層から上層にかけてゆっくり上昇しながら後方に向かう。ここでは、対流性領域の対流セル上部でできた雪や氷粒子が落下してきて、層状性の雲をつくるのに寄与している。そして、層状性雲と前から後ろへの流れの下の中層には、逆に後ろからスコールラインに流入してくる流れ(後部インフロー)がある。これはゆっくり下降しながら対流性領域近くまで達する。下降流に伴う断熱圧縮のため、後部インフローの下では温度が比較的高く、このため地上では低気圧となっている(ウェークローと呼ばれる)。また、対流性領域前方のガストフロントのさらに前方には、対流領域で上昇した空気の一部が下降し、断熱圧縮のためまわりより温度が高くなり、局所的な低気圧(メソロー)が形成されることがある。
参考文献
小倉 義光, 1999 : 一般気象学[第2版]。 東京大学出版会, 308頁。