客観解析
一言解説
一定の数学的な原理と物理的要請に基づき、これらを満たすように拘束条件を課して、気象要素の3次元分布を求めることを客観解析という。通常、コンピュータ処理によってこれを行う。客観解析の最大の長所は、データを扱って平面的ないし立体的分布を求める過程が明確にされている点で、全ての人が議論に加われるし、また改良の方向付けも示しやすいと考えられる。また、近年通常の気象観測に加えて、気象衛星、航空機などの多種多様な気象観測データが用いられるようになったが、それらの総合的処理にも有利である。

詳解
さらに、客観解析は、単に自動的に解析値を求めるだけでなく、通常は数値予報のための初期値を用意するという目的を併せ持っている。解析の第一段階ではどれだけ観測値に忠実に解析するかという点が問題になるが、同時にとりあげようとしている大気現象のスケール以下の組織(あるいは変動)は平滑化して除去する。その意味で、観測データを尊重する一方で、不必要に小さい組織は無視している。
客観解析では、まず解析の前処理として、観測データの品質管理(QC)を行う。観測データを入手した段階でこれに含まれる誤差には、大別して測器の誤差、人為的誤差、情報伝達の誤差の3種類がある。人為的誤差とは、データ取得から電報形式に変換して通信回線にのせるまでの間に生じるかもしれない、あらゆる種類の誤差を含んでいる。これらの誤差を可能な限り取り除いて修正する。
次にいよいよ本番の解析の段階に入るが、通常は地理上ばらばらに分布している観測点のデータを、秩序だって並んでいる格子点上に内挿する。気象庁では、その内挿の方法として最適内挿法(100hPa以下の対流圏に適用。それ以上の成層圏の解析には、2次元最小2乗適合法)を用いている。この方法は、気象要素の分布について統計的構造を利用し、平均2乗内挿誤差を最小にするように決定された荷重関数を用いて、格子点の値を内挿するものである。その格子点上の観測データの内挿値から解析値を求める方法は、気象要素別と熱帯・亜熱帯・温帯(と高緯度地方)の領域別に少し異なるが、要点は以下のとおりである。まず、6時間前の客観解析結果を初期値とする6時間予報の予報値を、各格子点の第一推定値として用意する。そして、この第一推定値(6時間予報値)と先に内挿した観測値をブレンドして解析値を求める。その場合、考えている格子点の近くに観測データがない場合、第一推定値がそのまま解析値になる。このような解析の進め方を、解析予報サイクルと呼んでいる。
解析予報サイクルを繰り返すことによって、過去の気象観測データを予報を通じて活用していることになるし、解析の連続性を保つことにもなっている。ただ、観測値の品質管理にもこの第一推定値を用いている関係上、第一推定値に重みをかけすぎて、元来正しい観測値が第一推定値とかけ離れているという理由で不採用にしないように、注意する必要がある。客観解析の過程では、この点にも配慮している。

参考文献
天気予報技術研究会編集, 1994 : 最新 天気予報の技術。 東京堂出版, 282頁。