■一言解説
右の図は、1979〜1995年で平均した海面気圧の世界分布を表している。この図より、赤線で示した南北緯30度に沿って暖色で示した高圧帯が形成されていることがわかる。この高圧帯のことを亜熱帯高圧帯と呼ぶ。亜熱帯高圧帯の中でも、アメリカ西海岸沖の東太平洋、南北大西洋、チリ沖の南東太平洋、南インド洋に特に気圧の高い部分が見られる。これらが亜熱帯高気圧と呼ばれているものである。シベリアにある高気圧は、亜熱帯高気圧ではない。
■詳解
なぜ、この緯度帯に定常的な高気圧が形成されるのか。赤道付近に注目すると、気圧が周辺に比べ低くなっていることが分かる。赤道付近は年平均での日射が最も強いことから、海面水温が高く(厳密には赤道よりもその周辺で最も高温になっているが)、空気が温まりやすくかつ海面から水が蒸発しやすいために、時間的にも空間的にも平均して上昇気流の方が下降気流に比べて卓越しており、低圧部となるのである。赤道付近で上昇した空気は、対流圏界面(赤道付近では高度約17km)にぶつかるとそれ以上は上昇できないために、南北方向へと流れていく。その南北に向かった空気は緯度30度付近で地上に降りてくるために、この緯度帯で下降気流が卓越して高圧部、つまり亜熱帯高圧帯が形成されるのである。なぜ緯度30度付近で空気が下降するかについてはここでは触れない。このため亜熱帯高気圧は、対流圏の上層から下層まで下降気流が卓越しており、地上でも高層でも高気圧として解析される背の高い高気圧である。また、上層の空気は乾燥しており、空気が下降する際には乾燥断熱源率10K/kmに従って温度が上昇するために、周辺の水蒸気を含んだ空気に比べて温度の高くなることから、温暖高気圧とも呼ばれる。その強さや位置は季節によって変化し、夏(冬)半球側では赤道付近の上昇流域が高(低)緯度側に移動し活動も活発(不活発)になるため、高気圧の位置も高(低)緯度側に移動し、下降気流の強化(弱化)を通して比較的強(弱)くなる。夏季、日本付近に張り出してくる小笠原高気圧(太平洋高気圧)も、亜熱帯高気圧の1つである。亜熱帯高気圧には、季節的変化の他に、10日前後で強弱を繰り返す季節内振動(変動)を伴う。太平洋高気圧も、10日前後で強弱を繰り返しており、強い時には日本付近は晴天で暑くなるが、弱い時には北から寒気が流れ込むために雷雨が発生しやすい不安定な天気となる。