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日本の四季
(1)春の天気は周期的
春の天気図と雲画像 春の天気の特徴は、天気が周期的に変化し、気温が大きく変動することです。このように、寒暖の変動が大きく、天気がめまぐるしく変化するのは、日本付近を低気圧と高気圧が速い速度で交互に通過するためです。これは、上空の強い西風(ジェット気流)が日本付近に位置しているためです。上の天気図及び雲画像は、春の気圧配置図と対応する赤外画像(6日分)です。7日(左上)は、日本付近は南海上に中心を持つ高気圧に覆われている一方で、大陸東岸には低気圧が進んできています。雲画像では、日本付近は晴天域ですが、東シナ海や大陸には低気圧に相当する南北に長い雲帯があります。8日になると、南海上の高気圧は、日本のはるか東へと遠ざかり、大陸東岸の低気圧は前線を伴って、発達しながら日本海に移動しています。雲画像では、はっきりと日本海で雲が渦を巻いており、低気圧が発達していることが分かります。9日になると、日本海の低気圧はさらに発達しながら、すでに北海道の南東海上に移動しており、黄海の北部に移動性高気圧が進んできています。日本付近は一時的に、西高東低の冬型の気圧配置となっています。雲画像でも、日本海に筋状の雲が現れていることが分かり、一時的に寒気が流れ込んでいることが伺えます。翌日10日は、日本付近は移動性の高気圧に広く覆われています。雲画像では、日本付近は晴天域ですが、大陸にはシベリアから日本海にかけてと、華中から東シナ海にかけて、帯状の雲が存在しています。これは、上空の強い西風に流されている高層の雲であり、日本上空にジェット気流が吹いていることを示すものです。11日は、高気圧の中心は関東の東へと去り、再び低気圧が黄海に、停滞前線が華南から南西諸島に伸びています。再び気圧の谷が接近しています。雲画像でも、日本付近をすでに南北に伸びる雲帯が覆っているとともに、停滞前線に相当する雲帯が華南から西日本に伸びています。この春先に現れる停滞前線のことを「春雨前線」と呼んだりします。この前線の影響で、日本付近は数日に渡って悪天候になることがあり、「菜種梅雨」と呼んだりします。12日には、前線上に低気圧が発生し、前線が日本の南に伸びています。雲画像でも日本の南から大陸にかけて雲が多くなっています。その中で、南西諸島付近には、一際輝く発達した雲があり、その形はニンジンのようです。この雲のことをテーパリングクラウドと呼び、この雲の下では激しい気象現象が起きることが多いです。
このように、春の天気は目まぐるしく変わり、気温の変化も激しいのです。時には、春雨前線の影響で、数日間天気が悪くなることもあります。体調管理には十分気をつけたい季節です。また、上空の強い西風に乗って、中国奥地の砂漠で巻き上げられた砂が日本付近にまで流れてくることがあります。その時には、空が黄色ぽくなり、視程がやや悪くなります。この現象のことを黄砂と呼びます。

(2)春を呼ぶ日本海低気圧
春一番(雲画像) 春一番(天気図)
春先(2〜3月)にかけて、日本海を低気圧が発達しながら通過するときがあります。右の気圧配置は正にそれを表しています。北海道のすぐ西に低気圧があり、そこから南西方向に寒冷前線が中国地方、九州北部を通って東シナ海にまで達しています。この前線の南側では、低気圧に向かって南風が吹いています。低気圧が発達すればするほど、この南風は強くなるのです。その南風の中で、立春(2月4日)〜春分(3月21日)の間に、初めて吹く8m/sを越える強い南風のことを春一番と呼びます。右の気圧配置の際には、関東と北陸で「春一番」が吹きました。

寒冷渦(雲画像) 寒冷渦(天気図)
(3)晴れのち雷雨
4月の終わり〜5月にかけては、日本付近は高気圧に覆われる日が多く、比較的晴天に恵まれます。しかし、時として「上空に寒気を伴った低気圧」が到来して、夕立の起きやすい天気になる場合があります。右の天気図は、その時の気圧配置です。九州の北に小さな低気圧があります。地上天気図では、小さくてひ弱そうな低気圧ですが、実は上空には強い寒気を伴っています。この低気圧のことを「寒冷渦」、「寒冷低気圧」及び「切離低気圧」と呼びます。地上は、初夏の強い日射によって暖められ気温が上がってる状況で、この低気圧に伴う寒気が流れ込んでくると、大気の状態が不安定になり雷雲が発生しやすくなります。特に、低気圧に向かって南風が流れ込む低気圧の南東側で雷雲が発生しやすいという特徴があります。雲画像では、日本海にコンマ状の雲があります、渦の東側に南北に伸びる白い雲帯は、積乱雲の塊です。この雲の下では、落雷、突風、雹などの激しい現象が起きます。この低気圧の別の特徴として動きが非常に遅いということが挙げられます。ちなみに、5月には、このような低気圧が何回か通ることがあります。

梅雨
梅雨(雲画像) 梅雨(天気図)
5月になると、南西諸島付近に東西に伸びる停滞前線が現れます。その前線はゆっくりと北上し、6月初めに日本付近に達します。これは、夏が近づいてくると、前線の南の夏の気団が勢力を強め、前線を押し上げるためです。5月の中旬には南西諸島付近、6月の上旬には本州付近にまで北上し1ヶ月ほど停滞します。結果、それが日本に梅雨という時期をもたらします。南西諸島では、本州より1ヶ月近く、梅雨の期間(5月中旬〜6月下旬)が早くなります。右の天気図は、梅雨における典型的な気圧配置です。中国大陸から日本を通って、はるか東海上にまで長々と梅雨前線が伸びています。前線の南には温暖で湿潤な空気をもった夏の高気圧があり、前線に向かって南から湿潤な空気を送り込みます。北のオホーツク海には、寒冷で湿潤な空気をもったオホーツク海高気圧があり、前線に向かって湿潤かつ寒冷な空気を送り込みます。日本付近の梅雨前線は正に、この2つの気団のぶつかり合う境界に位置しています。大陸上の停滞前線は、大陸内部の乾燥した気団と遠くインドから流れ込んでくる湿潤気団の境目に形成されます。よって、大陸上の前線帯は南北の温度傾度は小さく、水蒸気勾配が大きくなります。日本付近では、オホーツク海気団の影響で前線帯での南北温度差も大きくなります。梅雨前線に伴う雨は、主に前線上を東進する低気圧によってもたらされます。右の天気図にも前線上に、3つの低気圧(大陸東岸、朝鮮半島南部、日本の東)があります。この低気圧が南からの湿潤な空気を集めることにより、低気圧周辺で雲が発達し大雨になりやすくなります。雲画像でも、低気圧に対応する位置に雲の塊が形成されていることが分かります。梅雨前線は雲帯が東西に長々と伸びているというイメージをお持ちかもしれませんが、実は雲の塊が東西に並ぶ構造を持っています。前線上の低気圧は、あまり発達しませんが、周辺の大気を集めることで、積乱雲の発達しやすい環境をつくり大雨を降らせます。梅雨の末期ほど、前線南の温暖湿潤気団が強まるので豪雨が発生しやすくなります。7月の下旬になると、前線の南側の高気圧が強まり前線を北に押し上げます。これが梅雨明けに繋がります。
梅雨には雨の降り方で2つに大別できます。1つは、しとしとと断続的に雨の降る日が続く陰性の梅雨、もう1つは強い雨と晴天の日を繰り返す陽性の梅雨です。また地域によっても、雨の降り方に差があり、南からの湿った空気が直接流れ込む西日本では比較的強い雨が、一方でオホーツク海からの湿潤な空気の影響を受けやすい東日本ではしとしとと雨が降ることが多い傾向にあります。オホーツク海にある高気圧は常に存在しているものではありません。この高気圧には年によって強弱があり、強い年には、なかなか前線が北上せず梅雨明けが遅れたり、東日本〜北日本の太平洋側に「やませ」と呼ばれる寒冷湿潤な空気が流れ込み、天候不順により低温、日照不足で冷害の発生に繋がります。

鯨の尾形(雲画像) 鯨の尾形(天気図)
夏の太平洋高気圧が前線を北に押し上げると、右の図のような気圧配置になります。これが典型的な夏の気圧配置で、南に高気圧、北に低気圧があることから「南高北低型」と言うこともあります。また、太平洋高気圧の張り出し天気図でくじらの尾のように見えることから「鯨の尾型」ということもあります。太平洋高気圧が、強く日本付近を覆うと蒸し暑い日が続きます。雲画像で見ても、日本付近には全く雲がありません。ただし、北海道から大陸にかけては低気圧や前線に伴う雲が見られます。太平洋高気圧は、10日ほどの周期で強弱を繰り返す特徴をもっており、弱まった際には、高気圧の西の縁を回って湿潤な南風が流れ込みやすくなったり、北から寒気が流れ込みやすくなり大気の状態が不安定になって、夕立が発生しやすくなります。また、この時期からはるか南海上で発生しやすくなる台風は、太平洋高気圧が強いために北上することなく、中国大陸の方へと西進していくのが一般的です。しかし、何らかの原因で太平洋高気圧が弱いと、台風が日本を直撃する可能性が出てきますし、梅雨明け自体がなく本格的な夏を迎えることのないまま秋になってしまう場合もあります。1993年の夏はその典型的な事例です。ここ近年は、太平洋高気圧の位置や張り出しが変わってきており、8月になっても停滞前線が日本付近に停滞しやすくなっています。最近の研究では、地球温暖化が進むと、盛夏期でも日本は前線帯にあたり雨が多くなるとか、集中豪雨の頻度が多くなると言われています。

(1)台風と前線のコンビネーション
台風と秋雨前線(雲画像) 台風と秋雨前線(天気図)
秋になると、夏の太平洋高気圧は徐々に弱まります。しかし、台風の発生しやすい時期は続いているため、台風の幾つかは高気圧の西の縁を回って日本にやってきます。また、北からは秋の空気が南下してきますから、梅雨と同じように、日本付近は夏の空気と秋の空気の境目になり停滞前線が形成されます。この前線のことを秋雨前線と呼び、その前線の活動に伴う雨の降りやすい時期を秋雨と言います。台風と秋雨が重なると、台風の東側つまり太平洋高気圧の西の縁をまわって、前線に湿潤な空気が流れ込む影響で大雨になりやすくなります。右の図は、台風の接近時における気圧配置です。南西諸島に台風があり、日本海には秋雨前線が伸びています。湿った空気は台風の東側を回って前線に流れ込むのです。そのため、台風がこの事例のように、本州から離れた位置にあっても大雨が降ることがあります。雲画像では、紀伊半島から東海地方に白く輝く発達した雲があることが分かります。
1年間で発生する台風の数はおおよそ25個、そのうち年間に平均2.6個が日本に上陸しています。また、台風は日本付近で東向きに進路を変え、かつ移動速度を増します。これは、秋になると強い偏西風帯(ジェット気流)が日本付近に南下してくるためです。ジェット気流は冬にかけて本州付近にまで南下するため、10月に入ると台風は日本に近づくことなく、南海上を東進していきます。


(2)周期的な天気の変化と冬の足音
秋も深まり、11月頃になると春と同じように、短い周期で高気圧と低気圧が交互に日本付近を通過し、天気も気温の変化も激しくなります。低気圧の去ったあとには、一時的な冬型の気圧配置となり寒気が流れ込みます。北西の冷たい季節風「木枯らし」が吹きます。冬の気団である、シベリア高気圧が強まってきた証拠です。

(1)寒さを表す縦縞模様
西高東低(雲画像) 西高東低(天気図)
冬の天気予報で、天気図の解説をする際、「西高東低の冬型の気圧配置」という言葉がよく出てきます。右の気圧配置が正に、その気圧配置です。日本の東に低気圧、西(大陸の奥地)に高気圧があり、西に(気圧が)高く、東に(気圧が)低い気圧配置です。この気圧配置になると、大陸の高気圧から冷たい空気が流れ出し、日本にやってきます。大陸にある非常に優勢な高気圧のことをシベリア高気圧といい、シベリア気団の強さを表していると言えるでしょう。大陸の空気は非常に低温で乾燥しており、この空気が日本に到達する前に日本海を通ると、海は暖かいため水が蒸発し空気は湿っていきます。この湿った空気が日本の山にぶつかると上昇して雲を形成し雨や雪を降らせます。気象衛星の画像で、日本海に筋状の雲が形成されるのは、大陸からやってきた空気が海の上で水蒸気と熱の補給を受けて上昇するためです。その後水分を、山の風上側で落とした空気は、山を越え乾燥した気流となって太平洋側に吹き降ろします。結果、この気圧配置の際には、日本海側で雨や雪のぐずついた天気となり、太平洋側で乾燥した晴天となります。大陸から流れ込んでくる寒気が強いほど、風が強い上に日本海での海面との温度差が大きくなり、水は蒸発しやすくなります。そのため、大陸から少し離れたところですぐに雲が形成されます。右の雲画像では、筋状の雲は大陸の陸地から近いところで発生しており、寒気が強いことを示しています。
冬型の気圧配置には、大別して2つの型があり、1つは等圧線が南北に何本も走った「山雪型」で、季節風が強く、山岳での空気の上昇が強いため山の近くで大雪をもたらすものです。もう1つは、日本海で等圧線が袋状になったり、小さな低気圧が形成されている「里雪型」で、季節風は弱く日本海側の平野部で大雪をもたらすものです。ちなみに、本州の等圧線の間隔が狭いほど季節風が強いことを表し、本州上に等圧線が5本以上通っていると強い冬型と言われます。


(2)太平洋側に大雪もたらす南岸低気圧
南岸低気圧(雲画像) 南岸低気圧(天気図)
西高東低型の際に雪が降るのは、日本海側ですが、時として太平洋側でも雪となる場合があります。右の天気図は、実は4月の天気図と雲画像です。日本の南岸を通る低気圧は主に、2月から3月の冬の終わりから春先によく現れます。天気図では、関東の南岸を低気圧が東進しており、やや発達しています。この低気圧は24時間後には978hPaまで発達しました。このように、本州南岸を低気圧が発達しながら通ると、低気圧に向かって北から冷たい空気(寒気)が流れ込んで、太平洋側でも雪の降る可能性があります。実際にこの事例では、4月に関わらず甲信・関東北部で大雪となり、河口湖では観測史上3位の23cmの積雪を観測しました。
低気圧があまり発達しないと、北からの空気の流れ込みが弱く、逆に陸地に近すぎると低気圧に吹き込む南からの暖気の影響を受けて雨となります。また、北緯30度から南を低気圧が通っても雨(雪)雲が陸地にかからないため降水自体がなくなります。このような、本州の南海上を通る低気圧のことを「南岸低気圧」とか、台湾付近で形成されることから「台湾坊主」と呼んだりします。

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